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家守奇譚 新潮文庫

家守奇譚 iemori kitan

最初タイトルを見たとき、

「家守」という名の武将か公家さんのお話

かと思ったら、文字通り「家を守る人」のお話。

梨木 香歩 nashiki kaho

以前「西の魔女が死んだ」っていう本が

本屋で平積みされているのを見かけてタイトルに心惹かれたことがあった。

そのときは他の本を購入したけども💦

どうやらこちらも同じ作家さんのものと知って

これも何かの縁とポチってみたところ、思いのほか薄かった😅

ページ数を全くチェックしてなかったな~と

読み始めてみると、なんともなんとも不思議ワールド!

ただ、その摩訶不思議な事象を主人公もその他登場人物も

日常の出来事で「まぁそういうこともあるだろう」と受け入れるから

読んでるこちらも「なんのこっちゃ」とかならずに

まるで「これが日本の原風景」って思えてくる。

これこそ不思議。

サルスベリ

主人公に懸想するサルスベリから始まったところで

あぁ、サルスベリといえば…

私がまだ小学校の低学年のころ、祖父の法事で父の実家に行った時のこと。

祖父が退職後、祖母と二人で住む為に建てたこじんまりした平屋と

同じくらいの坪数がありそうな庭に濃いピンクのサルスベリが咲いていた。

祖母が「幹がつるつるでしょ。猿でもすべって登れないくらいだから

『サルスベリ』って言うのよ」と教えてもらったことを思い出した。

この年になってもどこかでサルスベリの木を見かけると「つるつるだなぁ」

「猿、ホントに登れないのかなぁ」って思う😁

 

奇譚ではなく綺譚

まさに綺麗に流れる疎水の水のように読み進めていけた1冊。

読み返す時には、目次から好きな植物の譚を選んでいくのもよいと思う。

山間の土地にあった母の実家には私も小学校2年まで暮らしたが、

そこに家はもうない。

跡取りがいたら、あの古い日本家屋はどうなっていただろう。

この綺譚の舞台となった家のように家を守ってくれる人がいれば

良かったのに、と少し感傷的になってしまった。

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